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父の日

昭和43年の父の日は、6月16日だったらしい。

その日の午後、横須賀線上り列車が爆破された。
翌年逮捕されたのは犯行当時24歳、もなみの父と同年生まれの青年だった。




20年余り前のこと、新聞の片隅に載っていた一首の短歌に心をとらわれた私は
すぐにその歌人・純多摩良樹の歌集「死に至る罪」を取り寄せて読んだ。

純多摩良樹は、横須賀線電車爆破事件を起こした男のペンネームであり
獄中で歌を詠み、32歳で刑死している。

事件のことを知らなければ、詠まれた歌をどう解釈すればよいのか分からないので
ネットで検索したり、彼をモデルに書かれた加賀乙彦の小説「宣告」を読んだりした。

幼くして父親を戦争で亡くし、貧しさゆえに高校進学を諦めなくてはならなかった。
でも元々成績が良く手先も器用だった彼は、大工の修行をしながら勉強をして
設計事務所を開く夢まで持つようになって行ったらしい。

しかし、思うようにならない現実が重なり、自らの境遇を呪い始める。
自分の元を去った恋人が新しい交際相手に会うために乗る電車に凶行を企て
実行してしまった。
結果、奇しくも「父の日」に...という偶然がいくつも重なる事件となる。




私には彼が私の父と同い年だということが、なぜかとても引っ掛かった。
同じ時代に生まれ、東北に育ち、
何かきっかけがあれば、父も純多摩良樹になってしまったかも知れない。
そんなことを考え始めると、たまらない気持ちになる。

犯した罪は許されるものではないけれど
どんなに悔いて、いつか与えられる死にどんな気持ちで向き合っていたのか
ふと彼のことが頭の中をよぎるのは、いつもこの時期だ。

今年も我が家の父の日は、ささやかながら感謝の日だった。
長生きして下さいと心から願えるのは、
私にとってもありがたく、幸せなことなんだと気付かされる。



「教会の鐘きこえくる方角に殺めし街がありて昏れゆく」   純多摩良樹




コメント 2件

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もふもふ903  
こんにちは^^)

昭和43年は10歳だった私、この事件や犯人のことは全く知りませんでした。
もなみちゃんのお父さんは、決してこんな事件は起こさないでしょう。
父の日に長生きを願ってくれる娘をちゃんと育てたんですから。
お父さん、私と一回りくらいしか違わないのね。まだまだお若いです。^^)

2020/06/24 (Wed) 17:37 | 編集 | 返信 |   
もなみ99  
もふもふ903さま♪

もふもふさん♪ こんばんは~(^_^)
いつもありがとうございます!

誰にもした事のない話をブログになら書けそうで、書いてみました。
もふもふさんはイヌ年さんですね?
ウチは父と私と次弟がヒツジ年、母と長弟と妹がトリ年という、
家畜一家でございます(´∀`)
干支が同じ者同士は顔も似ていて、なんだか不思議です(笑)

2020/06/24 (Wed) 22:34 | 編集 | 返信 |   

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